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スイスの湖の街、チューリッヒ




15年ほど前一年間スイスのチューリッヒに住み設計事務所に勤めていました。


大学院で妹島さんの研究室を出してもらったばかりの頃で、現地の設計事務所に紹介で入れてもらい働いていました。働いたと言っても言葉の壁は高く、学生レベルを超えることはできなかったのですが。スイスは公用語が4つあり、地域によって言語が違うという、日本人には理解しがたい国になっています。チューリッヒがある北側はドイツ語ですが、ドイツ人にもすぐにはわからないと言われているくらい、訛りが強いもので、日本で見たテキストでついていくことは困難でした。


チューリッヒはスイスの中で一番大きな街で、チューリッヒ湖の北端に位置します。位置するというよりは湖沿いにつくられた街という印象が強く、湖から見て東-北-西のどの位置にいるかというのが自分のいる場所の目安になっていました。



僕も毎日この湖の東側に住み、西側の事務所に自転車で通う日々でした。

すこし小高い場所に暮らしていたので、朝起きてすぐに湖が見える位置でした。街中全てから湖が見えるわけではないですが、なんとなくみんなが湖を感じながら生活しているような気がしていました。

特に高級でもないマンションの一室から湖が見渡せるという、日本で考えるとなんとも贅沢な話ですが、それくらい当たり前に湖を感じながら生きていました。


設計事務所の働き方もおおらかで、夕方は5時過ぎに仕事を終え、みんなで湖に飛び込みに行くような生活。ちょうど間にはちょっとした繁華街のようになっていて、ビールを一杯引っ掛けて帰る感じです。


湖の周りは休日でも平日でも人が集まり、その間にちょっとしたアート作品があるような豊な空間が広がっています。


人間の街は川や湖の周りに広がったとされています。

湖畔を歩くことは、本能的な人間の基本的な生活の一つなのかなと考えたりします。

海に囲まれた日本では、 海かもしれません。水の営みと人間の営みは切っても切れない関係にあるように思います。

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