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イタリア コモ ジュゼッペテラーニのカサ・デル・ファッショ 

イタリア コモ ジュゼッペ・テラーニ/カサ・デル・ファッショ

Casa del Fascio Giuseppe Terragni Como Italy

スイスとイタリアの国境に位置するコモです。

スイスのチューリッヒと同様、コモ湖のほとりの街コモは、多くのローマ皇帝、ヨーロッパ王室、貴族に愛された街です。今でもヴィラと呼ばれる避暑用の別荘があり、日本で言うと軽井沢や、御用邸のある神奈川県、葉山あたりのイメージでしょうか。


旅する建築家 イタリア コモ湖 バックパッカー
イタリア コモ湖


ここでの目当ては、避暑‥ではなく、建築家ジュゼッペ・テラーニのカサ・デル・ファッショという近代建築の名作を見ることでした。このカサ・デル・ファッショ、写真等でみたときは割と重厚な建物かと思いきや、実際行ってみると周りの建物が重厚な分、また、教会の向かいということもあり、軽快な建物です。

その軽快さは、外に出た柱で出ているのかと思います。鉄筋コンクリート造にしては少し細い柱と、そこからの抜け感が軽快です。

 

建築バックパッカー イタリア コモ
casa del facio


大通りに面してはいるものの少し奥まっている分、存在感があり、その立ち方が面白い。そして、そのプロポーションはファサードが2:1。その2:1を7と4に分割してもう一つの比率を生み出すという、形態を簡単な比例の秩序で表すということをしています。形態主義=フォルマリズムトいいますが、単純な比例でつくるために、間の柱や梁を同じ厚さにしていたり単純にするために複雑な努力をしていることがみられます。

ところで、この建築が「ファシスト党地方本部」であるということを考えると、この建物のもう一つの一面が見えてきます。ムッソリ-ニの「ファシズムとは内部が見通す事のできるガラスの家である」という言葉をテラ-ニが引用しながらも、テラーニの発言では「新しいもの、それがテ-マである。ファシズムが、完璧なまでに独創的な出来事であることを忘れてはならない」といった、社会的なスタンスへの意識を感じさせます。


 

実際に行くと本来は予約等がないと内部に入れない建物でした。しかし、若い東洋人がはるばる来たということで、警備員さんが少しだけ中に入れてくれ、なかの写真だけ撮らせてくれました。もう時効ですが、数多くの学生が訪れていることがわかります。

 

建築バックパッカー イタリア コモ
casa del facio


 テラ-ニのカサ・デル・ファッショは「ファシストの家」ですが、ファシズムとは違うところでも成立する空間です。テラーニのフォルマリズムや、建築のピュ-リズムも、ヨーロッパに点在する教会や、日本の神社仏閣のように、そうした社会性を越えて成立するものであることが感じられます。




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