自然素材というけれど、日本の建物の多くは石油素材で包まれて作られています。
日本の建物の多くは石油素材で包まれて作られています。
外部は、戦中の焼夷弾で燃やされた過去から、街中の住宅は、屋根、外壁、軒下、全て不燃材で包むように建築基準法で決められています。内部によく使われている壁紙、ビニルクロスは、汚れやカビ防止のためにコーティングされています。唯一自然素材を使われることが多い床ですが、無垢材のフローリングであっても、水や汚れに強くするため、オイルなどでコーティングされ、防腐、防カビ等様々な劣化対策がなされるために石油素材で包んで使われています。
私は自然素材を使うことには基本的に賛成です。コンビニの防腐剤などはたまに話題に上がりますが、建物の防腐はあまり話題に上がりません。アトピーなどの原因になると言われるハウスダストや、シックハウスですが、石油素材がどの程度人間の体に影響を与えているかはわかりません。
法律に許されている限りですが、自然素材は漆喰や、無垢フローリングなど、メンテナンスが大変な素材ではありますが、自然素材を使っていくことを考えてみてもいいのではないでしょうか。
ただし、自然素材は経年変化で色が変わったり、割れたり、とメンテナンスに厳しい素材です。石油素材の恩恵はすごく、不燃の効果や、メンテナンスフリーである清潔感は変えられません。建築家とよばれる設計士は石油素材を敬遠する癖があります。それはそれで弊害があると考えています。ホテルを設計する際に、建築家の設計したホテルやホステルを行ける限り回りましたが、それらでは、自然素材やペンキによる壁の割れや、汚れ、ペンキの補修跡など、見るに堪え難い状態を見てきました。また、設計士の木材の無知さも明らかになりました。米松やタモは安価で構造に使えるくらい強く水にも強い材料ですが、日常的に濡れてしまう水回りに使うとすぐに木目が黒くなり、あまり清潔には見えない材料です。意外とそれを知らずに水回りに使ってしまっている事例も多く、建築士の勉強不足を感じました。
弊社では先日竣工した「ホテルあたらよ」では逆に自然素材を極力おさえ、木材を使う際にはゴムやスプルースなど、水にも強く、傷もつきにくい材料を使うことで対応しています。おかげで、ネットの口コミ上では清潔であるという評価を多くいただきました。
自然素材も石油素材も適材適所用いることで、的確な設計ができればと考えています。