20220810 入隅と出隅と巾木

トートのコラム column

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「巾木」はご存知でしょうか?

「はばき」と読むこの素材は床の壁の境目に補強材として貼り付けられる幅5cm〜10cm、厚さ5mm程度の細長い板です。

掃除をするときに用具が壁に接触するために長年のうちに壁の下端部分に汚れや痛みが生じてしまうためにつけるものとされています。例えば白い漆喰壁と木の床の組み合わせであれば、箒や掃除機、お掃除ロボットが毎日当たって、知らない間に壁を傷めてしまうため、その損傷を防ぐために巡らされるものとなります。

最近では壁紙、ビニルクロスの性能が良くなり、巾木をそもそも必要なく作ることができるため、弊社でもクロス次第では巾木をつけずに施工することが多くなりました。

しかし、残念なことに最近では壁紙の汚くなりがちな縁の部分を隠すために使われることが多く、腕の悪い職人さんが誤魔化すための道具と成り下がってきています。

というのも、この巾木は壁と床の境界を曖昧にして、本来、そこにできるはずの素材同士の「競い」対比効果をうすめ、堕落させてしまうとします。日本の空間の「味わい」はこのような隅やへりに対する始末や工夫で生み出されていました。

巾木には壁の厚み分壁から飛び出させる「出巾木」と、壁の奥に巾木を引っ込ませた「入巾木」という処理があります。

入り巾木は必ず陰になり、壁が宙に浮いて見え、壁の下端が際立ちます。

入り巾木は施工当初から計算しておく必要があり、手間もコストもかかりますが、手間暇かけて計画していくことで壁の下端に凛とした緊張感が生まれてきます。

漆喰など、自然素材ではまだまだ生きてくる巾木です。日本の空間を演出するためにもこんな手法を取り入れるのはいかがでしょう?