20220110 日本の街について考えてみよう

トートのコラム column

設計をする上で、使う人、お金を出すお施主さまのことを第一に考えるのは当然のことですが、設計するということはそれと同時に街を変化させることでもあります。

​一介の設計士ですが、最近は街について考えることが多くなってきました。​

もちろん、街によって条例が決まっていたり、規制ではなくても努力義務があったりと、まちづくりをする上で色々なことがあります。ご依頼があった神奈川県、真鶴市では「美の基準」という指針があったり、住宅を設計中の横浜市のひとつの街では塀ではなく生垣という植物の塀をつくるような努力義務があったり、横浜市にも、歴史ある建物はできるだけ保存するような指針があったりします。

海外を回った経験からも、日本は鉄道の駅を中心として発展したと思います。

割とどの駅でも、駅の周辺に商業施設、商店街や中層、高層のマンションが建ち、離れるごとに小さな住宅が目立ってきます。街の中心に大きな駅があるというのは日本の街の大きな特徴と言えると思います。住んできた中では、広島は例外で、川が多く、地盤がよくないことから、街の中心近くに駅を作ることができず、広島駅から中心地には路面電車で行き来するような動線を取っています。決して便利とは言えないかもしれませんが、この路面電車が東京など他の街では味会うことのできない独特な雰囲気と、特有なゆっくりとした時間を作り出して、広島の魅力の一つになっている気がします。

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実はこの駅を中心にした街づくり、自然発生的にできたわけではありません。

用途地域という制限によって、建物の用途や大きさが地域や街区によって決まっており、それがそのまま街づくりとして定着しています。例えば駅の周辺は商業地域になっていることが多く、その結果大きな建物と商業施設がたくさん立ち並ぶという街づくりになっていきます。実はこの用途地域、一度決まると、緩和はできてもなかなか厳しくもできず、最初に何にするが街の印象を決める決定打になっていることが多いです。

 

ヨーロッパの有名な街では、もう街ができてから駅ができたので、駅は中心から離れていることが多いです。

駅から街に入るのではなく、道を通って街にはいるのです。「全ての道はローマに通ず」なんていう言葉がある通り、人は歩いて街に入る。そのため、道路空間が街の顔になり、楽しいものになっているのです。

では日本ではどうでしょうか?東京スカイツリーや高層ビルの展望台に登った時に大きな幹線道路沿いに高い建物が並んでいて、内側の小さな住宅を囲んでいる光景を見たことはありませんか?幹線道路沿いは建物一個ぶんだけが商業地域になり、その奥はそれぞれの用途地域になっていることも多いのです。その結果、幹線道路を通過するときは周りに高い建物に囲まれ、それぞれにデザインされているような、それでいて、どこも同じように見えてしまう。そんな景色が続いています。

この用途地域がいつ決まったかというと、明治時代まで遡るそうです。まだ自動車が一般的ではなく、建物もそんなになかった時代に決まった規制のまま今まで来てしまったことで、今の車からの景色が決まっているようです。​

駅前の街づくりは叫ばれて久しいですが、まだまだ車からの景色が楽しくなるのは遠い未来のことかもしれません。

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